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吹き矢3級の戯言雑記 (リンクは御自由にどうぞ)

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お前の声ならこの先 いつまでも唄えるだろ 夜間飛行の速さで十六夜の闇の空を流れ行けよ

 
 ラノベ消化にエロゲ消化……いつもの連休(挨拶)
……の筈だったけど、ピアノソナタに脳髄やられ過ぎて引きずられる。一度脳をリセットしないと立ち行かないので脳洗浄中。具体的にはエンドレスエイト8話連続視聴とかしてw



・【感想】【ラノベ】さよならピアノソナタencore pieces
さよならピアノソナタencore pieces (電撃文庫 す 9-12)さよならピアノソナタencore pieces (電撃文庫 す 9-12)
(2009/10/10)
杉井 光

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 最初に宣言しておくと、これからダラダラと書き殴る事は感想というより、恋文の類になると思うのであしからず。このアンコールとも言える4本の短編に1本の掌編を加えた今作は、どの作品も感慨深く、読了後はじめて自分がどれだけこの作品を好きだったのか思い知りました。


・"Sonate pour deux"
 本編ラストから更に数年の歳月が流れた、ナオミと真冬のその後を描いた短編。とある高名な作曲家の遺作ではないかと疑問視されるソナタ≪火盗蛾≫(命名ナオミ)の真偽と謎を追っていくと同時に、そろそろ結婚を意識し始めた二人を描いてる。その結果は? 表紙が可憐にも雄弁に語ってくださってますw

 人は嬉しいときに、いちばんきれいな涙を流す。


 いや、ほんとにナオミが鈍感で鈍感で、真冬じゃなくてもバカバカバカと言いたくなっちゃうなァ……。この期におよんで、なんで人間は結婚するんだろう?だもんなぁw そんな事を真剣に思い悩み答えを出そうと、うじうじ頑張る繊細さが、いかにもナオミらしいと言えばらしいんだけど、いささか真冬に同情するよw
 そんなナオミがソナタ≪火盗蛾≫に隠された"tojoours ensembule"というメッセージの意味に気づいた瞬間に抱いた決意は、作中でも屈指の名シーンだと思います。言葉だけでは想いは伝わらないから、ひとはぞれぞれの方法で伝えようとする。相手に想いが伝わるように強く強く、ただ"伝える"それだけの物語。ミュージシャンが言の葉に楽をのせ音を奏でて伝えるように、指揮者がタクトに想いをのせてオーケストラを奏でるように、強い想いを込めた約束を伝えたい人の指へと結びつける。"tojoours ensembule"(いつまでも共に)の言葉を伝えるためにナオミがとった最もポピュラーで古い約束を伝える方法。ほんとうにお幸せに。


・翼に名前がないなら
 ナオミと真冬が抜けた後のフェケテリコの二人を、新キャラで臨時メンバーの橘花を通して語る短編。クロウタドリはその片翼を失っても飛ぶことを止めやしない、まだ大地を蹴る足と片翼が残ってるから。神楽坂先輩と千晶の気持ちと決意が、橘花の目を通して痛いほど伝わってくる。片腕を失っても飛ぶことを諦めなかったデフ・レパードのリック・アレンのように。

 メンバーを失っても、なお同じ名前で歌い続けているのは、みんな、待ち人が永遠に戻ってこないのを知っている者たちだ。


 実にせつない。本当は二人共わかっている。会おうと思えばいつでも会えるだろうし、一緒に音楽をすることも出来るだろう。だけどフェケテリコとしてナオミ、真冬、神楽坂先輩、千晶の4人が再び一緒に羽ばたくことはない事を。ナオミにはナオミの真冬には真冬の音楽家としての戦場がある、二人にフェケテリコという場所があるように。各々が自ら選びとった戦いの場があることをわかった上で、いまだフェケテリコの名を名乗り音楽を続けるのは、道を違えども同じ音楽という空の下で戦っている戦友へ自分たちも戦い続けてること、音楽という空の下で繋がってることを届けるためにクロウタドリの翼に想いを託す。

 短い時間ながら二人と過ごし、その想いを感じ取り知った橘花だからこそ、二人の戦友となるべくフェケテリコを離れる決意をする。二人と肩を並べて戦える自分であるように、その闘い方を学ぶために。


・ステレオフォニックの恋
 ユーリーかわいいよ、かわいいよユーリー。
本編では親愛の情とちょっぴりの冗談なのかと思ったけど、ユーリーのナオミ好きはマジだったのかと驚くと同時にストンと納得できた感がある短編。良くも悪くも彼は純粋すぎるのでしょう、純粋すぎる故に疑問を持つ必要がなかったから、自分の想いの源泉がなんであるのかに気づけない。無垢であるが故に無知、無知故に純粋であり疑いを持つことを知らない。そしてその性質が彼自身の音楽性の多を占める。それこそ良くも悪くも。

 きみの恋はステレオなんだ。


 ナオミと真冬に抱く感情。二人のことが好きで、自分だけが二人の間に入り二人から愛されることができる立場にいる。ナオミも真冬も大好きだけど、コレが恋だとか愛だとか言われるとわからない。それもそのはずでユーリーが恋してるのはナオミと一緒にいる真冬であり、真冬と一緒にいるナオミ。ポールとアートの水曜の朝、午後三時のように双方向から奏でられユニゾンするステレオフォニックの恋。それはユーリーの気持ちだけでは成り立たない、とても切ない片思いであると同時に、一人だけでは得られない喜びを秘めた双方向からの恋。


・最後のインタビュー
 ナオミと神楽坂先輩の最後の対談。神楽坂先輩が言うように、これ以降の二人の対話は言葉ではなく音楽であるべき。それがフェケテリコを離れて音楽プロデューサーに転向したナオミの闘いであり、革命家である神楽坂先輩の闘い方。二人にとっての唯一の対話の方法。その最後のインタビューで語られる、ナオミ達に出逢う前に二つのバンドをその才覚故に潰してしまい、自分の中に他人の音楽を割り込ませないと決めた中学時代の神楽坂先輩が出逢った最高のベーシストの物語であり、先輩が恋する革命家になる出来事を描いた短編。

 神楽坂響子という才能は中学生時代にある程度の高みにあった。それこそ幸か不幸か並大抵の同世代の人間が足下にさえ近づけない程度には。そんな彼女が他者を廃して、独りで更なる高みを目指そうと錯覚するのも致し方ないことであり、彼女にとっての不幸。後に自分が欲しているのは共に戦う戦友であり、独りでは至ることのできない空の高みへと共に飛べる翼であることに気づく彼女だが、この時はまだ中学生。そんな彼女の鼻どころか心の処女膜を突き破るほどの出逢いが、彼女が最高のベーシストと語るリュウジとの出逢い、黒いギブソン・レスポールに纏わる物語。
 
 リュウジの存在は彼女にグルーヴで合わせることの素晴らしさ、喜び、共に戦う仲間が居る音楽を教える。だけどこの偶然がもたらした出逢いは離別が約束された出逢いだった。セックス&ドラッグ&ロック&ロールを嘯くリュウジは末期癌に冒されており、少しずつ身の回りを整理しながら日々を過ごす。黒いギブソン・レスポールを楽器店に売りに行ったのも、誰かが引き継いで音楽を奏でてくれるなら……そんな感情から。そんな時間のないリュウジだからこそ、響子の自分の中に他人の音楽を割り込ませない考え方が許せず、生きながら死んでいる彼女の目を覚ましたかったのでしょう。

 『そうだな。でもさ、貸しは残しといた方がいいだろ。だって』
そうすれば響子は一生、俺のこと忘れないだろ。


 結局、二人がライヴで同じ舞台に立つことはなかった。彼女はこの時すでに恋する革命家でロックンローラーだから、もう聞こえないほど遠くへ行ってしまった人間のためではなく、自分の音楽を聴きにくる人間のために音楽を奏でる。いつか自分の為のベーシストが見つかるまで、リュウジの事を忘れてもいいと思わせる仲間が現れる日まで、黒いギブソン・レスポールを封印して。

 そして月日は流れ、橘花というベーシストを手に入れた彼女は、再び黒いギブソン・レスポールを手にして音楽を奏でる。ジョン・レノンのように革命家である彼女は真の革命は音楽でなければ成せないこと知っているから。ジョン・レノンの平和を願う歌が世界中で歌われるように、高みから少しでも多くの人に声が届くように。そしてもう居なくなってしまった人には声は届かないかもしれないが、クロウタドリの翼に託して歌だけでも届けよう、貸し借りなんてなくても人は大切な人の事を忘れないって事を。その想いを空へと解き放つ。


・だれも寝てはならぬ
 "Sonate pour deux"直後、ナオミから結婚することを電話で聞かされた、父親・哲朗の心情を描いた短編よりも短い掌編。

 ……なあ、ひょっとして、おたおたしてるのって俺の方?


 実に可愛らしくもダメな父親であるw
いつものようにダメ言動でグダグダなのに、息子の結婚の報を聞いて、いつも以上に上滑りしてる様が、ホントに可愛らしい父親で、真冬の父親であるエビチリ然り、別れた女房の美沙子然り、息子のナオミ然り、これだけダメなのに誰もが哲朗を完全に見限らないところがこのおっさんの魅力といえる。


 総括すると本編で実に綺麗に幕の下りた作品であるピアノソナタですが、この短編集の補完で更に作品が深まったといえる最高のアンコールでした。作者である杉井光氏も言っていますが、この短編集でフェケテリコのメンバーが一同に会するシーンはただの一度もないんですよね。
作中でユーリーと神楽坂先輩がナオミの才能は一バンドのベーシストでおさまるものではないと語っていましたが、彼の才能はおそらく繋げることなんだなと思います。音楽と音楽に関わる人と音楽を聴く人の心を繋げることが出来る。これがナオミの才能じゃないのかなぁ自分は思います。だから彼は音楽プロデューサーの道を選び、フェケテリコを離れる。おそらくそれが彼の闘い方であり、対等な立場として同志である方法だから。真冬も然りでしょう。だからこれは別れの物語であり、再会の希望を願う物語。そして読者である僕たちも、いつか両翼の癒えたクロウタドリの翼が再び羽ばたくことがあるかもしれないという希望を幻視して別れる為の物語。本当に最高のアンコールでした。


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[ 2009/10/11 13:02 ] ラノベ | TB(0) | CM(0)
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エロスとカオスと人外ロリをこよなく愛するマシーネン・アーリア人。

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